AD値とロンゲストマッチの違い

ルーターに192.168.0.0/24のアドレス宛ての通信が来て
経路選択をする場合、
staticで設定してある192.168.0.0/20 と、
OSPFの192.168.0.0/24 ではどちらが勝つのか?

みたいな話になったんですが・・・

ルーティング関係の優先順位の話、
いろいろあってややこしいですよね。

AD値で考えるとstaticは1、OSPFは110で、staticの勝ち。
ロンゲストマッチで考えると、/24の方が長いですからね。

●基本の確認

結論から言うと、
OSPFの192.168.0.0/24 です。

ここで、AD値とロンゲストマッチは、
そもそも何だったかを確認しましょう。

AD(アドミニストレーティブディスタンス)値:
staticとODPF、BGPなど、複数の情報源から、
同じ宛先アドレス・サブネットの経路情報があった場合、
どの情報をルーティングテーブルに採用するかの優先順位。

ロンゲストマッチ:
宛先アドレスが、ルーティングテーブル上で、
複数のレコードのアドレス・サブネットに合致した場合、
サブネット長が最も長いものが選択される。

つまり、AD値はルーティングテーブルを作る際に考慮されるもの、
ロンゲストマッチは、出来上がったルーティングテーブルを使って、
経路を選択するときに考慮されるものです。

なので、OSPFで192.168.0.0/24 の情報を受け取っている場合、
static等、AD値が小さい情報源からの
192.168.0.0/24 の情報がない限り、
OSPF起源の192.168.0.0/24 がルーティングテーブルに載り、
経路選択に使用されることになります。

ルーティングテーブルに載ってしまったら、
あとはAD値は関係ありません。
ロンゲストマッチで経路選択されるだけです。

●実機で見てみる

たとえば、次のようなルーティングテーブルがあるとします。

Router#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
       i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
       ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
       o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
       a - application route
       + - replicated route, % - next hop override, p - overrides from PfR

Gateway of last resort is 192.168.11.1 to network 0.0.0.0

S*    0.0.0.0/0 [1/0] via 192.168.11.1
S     192.168.0.0/20 [1/0] via 192.168.11.1
O E2  192.168.0.0/24 [110/1] via 192.168.11.80, 00:03:37, GigabitEthernet0/4.1
      192.168.11.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.11.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/4.1
L        192.168.11.50/32 is directly connected, GigabitEthernet0/4.1

staticで設定しているのは、
デフォルト(0.0.0.0/0)と192.168.0.0/20だけ、
で、OSPFで192.168.0.0/24の情報をもらって、
ルーティングテーブルに載っています。

この時に、宛先192.168.0.0の経路を確認をすると、

outer#show ip route 192.168.0.0
Routing entry for 192.168.0.0/24
  Known via "ospf 1", distance 110, metric 1, type extern 2, forward metric 1
  Last update from 192.168.11.80 on GigabitEthernet0/4.1, 00:03:34 ago
  Routing Descriptor Blocks:
  * 192.168.11.80, from 1.1.1.1, 00:03:34 ago, via GigabitEthernet0/4.1
      Route metric is 1, traffic share count is 1

OSPF起源の/24のレコードが選択されますね。

ちなみに、もちろんですが、
staticでも192.168.0.0/24の設定をすると、
OSPFの情報は無視されます。

Router#show ip route
(中略)
S*    0.0.0.0/0 [1/0] via 192.168.11.1
S     192.168.0.0/20 [1/0] via 192.168.11.1
S     192.168.0.0/24 [1/0] via 192.168.11.1
      192.168.11.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.11.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/4.1
L        192.168.11.50/32 is directly connected, GigabitEthernet0/4.1

これがAD値の影響。

以上、AD値とロンゲストマッチの考え方の違いでした。

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